名港中央のきまぐれブログ

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きんいろモザイク キャラクターとその関係について

 『劇場版きんいろモザイクThank you!!』が8月20日に公開された。このブログのアイコンを見ればお分かり頂けるだろうが、私にとってきんモザは非常に思い入れのある作品であり、更に今回でフィナーレということもあって、見逃せるはずが無かった。ということで公開初日から10回見に行った訳だが、10回とも楽しんで観ることができ、改めてきんモザの魅力や面白さを感じた。残念ながら既に終映を迎えた劇場も多くなり、私はもう恐らく劇場で観ることは叶わないが、これからもきんいろモザイクという作品が好きであることに変わりはないだろう。
 さて、前置きが長くなってしまったが、今回はそんなきんモザの登場人物の関係と『キャラクター』について書いていきたい。ちなみに今回は珍しくネタバレが殆ど無いが、原作の表現等に一部触れることをご留意頂きたい。



 きんいろモザイクの主要登場人物にはそれぞれの『キャラクター』があり、各巻冒頭の登場人物紹介にはそのキャラクターに沿った単語でそれぞれが表現されている。この『キャラクター』があることで、登場人物たちの性格や個性が掴みやすく明確なものとなっている。
 一方で、登場人物たちが『キャラクター』を外れて行動することもあり、それがそれぞれの人間味や魅力になっている。例として、マイペースでおっとりしている忍の、好きなものが関わると驚異的な能力を発揮する一面や、天真爛漫で一途なアリスの、嫉妬心が強く腹黒い一面が挙げられる。
 このようなギャップのある性格設定はきんモザの大きな特徴だが、それ自体は多くの作品で見られる普遍的なものである。しかし、きんモザ特有の特徴として、登場人物らが『キャラクター』と周囲との関係に於ける自分の立ち位置を自覚して行動している、ということが挙げられる。
 分かりやすいのは陽子の「面倒見の良いツッコミ役」というキャラクターだろう。このキャラクターは本編でも陽子の特徴として取り上げられることが多く、幼い頃から忍や弟妹の面倒を見るうちに身に付けたものだと考えられる。一方で、陽子には勇への思いや綾への態度(特にルームシェア開始後)を見ると分かるように、甘えたがりな一面もあるのだが、普段は見せることがなく、皆の前ではあくまでツッコミキャラとして行動することが多い。また、鬼畜ギャグとして有名な忍のボケも、7巻1話の姉キャラ化や、10巻5話の「さすがに自分でも引きました」というセリフから、全てが天然ボケという訳ではなく、ジョークとして発言しているものもあると思われる。
 では何故このように、敢えてそれぞれのキャラクターを自覚した上でそれを演じて過ごしているのか。それは、いつまでも同じ関係でいたい、という彼女らの思いの表れであろう。
 彼女らの日常はどこまでも変わらないように見えて、それぞれの性格や考えは少しずつ変化していく。更に高校を卒業し、置かれる環境や外見も大きく変化した。オタク方面に開き直った振り切った香奈や、丸くなった久世橋先生などキャラクターが大きく変化した登場人物もいる。しかし、それでも皆が集まれば、高校時代から変わらないそれぞれのキャラクターを演じ、かけがえのない日常を再現できるのだ。
 
 きんモザは今回が最後のアニメ化とされており、原作も終了しているため、今後新しいエピソードが観られることは無いだろう。しかし、忍たちの変わりつつも変わらない関係はこれからも続いていく。そしてこれは、未来のことなど予想もつかないこの激動の時代にあって、より一層きんいろの輝きを放ち、私たちファンの心を照らし続ける光となり得るのではないだろうか。