名港中央のきまぐれブログ

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またぞろ。堤麻里矢について

今回は、敢えて今までブログで触れてこなかった、謎の女こと堤麻里矢について考えていくことにする。
なお、またぞろ。最新17話までのネタバレが含まれること、個人的な推測や予想が多く含まれることにご留意頂きたい。



麻里矢は初登場以降ミステリアスな殊の幼馴染として登場しており、特に前回(16話)と今回(17話)の話では殊に絡んで物語を動かす重要人物となっている。彼女は幼い頃から世話をしていた殊を心配しており、殊に「しっかりして」貰いたいと考え、その為に行動している…というのが大まかな印象だろう。


しかし、彼女の行動にはこれに当てはまらない部分が多くある。
例えば、今回(17話)の冷蔵庫に飲み物が入っていなかったシーンの後の行動である。殊がフリーズする中、麻里矢は「自分で考えないと」と殊に言いつつ自ら飲み物を買いに出掛けた。殊にしっかりして貰いたいのであれば、殊と共に次の行動を考えるなり、せめて一緒に買いに行くなりすべきではないだろうか。
また、麻里矢は留年界隈の3人のことを快く思っていない節がある。初対面で楓を威圧して泣かせる(しかもフォローなし)、16話の回想シーン(麻里矢劇場)では目に横線を入れる、16話で殊の自立に向けた3人の行動を否定するといった描写が良い例だろう。留年界隈の3人も殊の自立を応援するという根本的な考えは麻里矢と同じであり、このように邪険に扱う必要は無いはずである。


では何故、麻里矢がこのように不可解な行動をとるのか。それは、麻里矢が殊に対して共依存の状態にあるからではないだろうか。
共依存とは、特定の相手との人間関係に対する依存であり、相手の世話を焼くことで自分の存在意義を確かめることである。麻里矢の場合、中学以前の殊との関係が共依存で、殊の世話を焼くことで彼女自らの存在意義を保っていたのだろう。

こう考えると、麻里矢が留年界隈の3人を快く思っていないことにも説明がつく。殊に自立されてしまうと、麻里矢が存在意義を失ってしまうのである。そして彼女は、殊の生活に過剰に介入し思考能力を奪い、世話しなければならない状態を作り上げた。この結果、殊は「スイッチがON」になっている場合は麻里矢の指示なしに動くことが出来なくなり、自立とは真逆の方向へ進んでしまっている。


しかし、中学時代の麻里矢は殊の自立を応援し、会わないという約束を一度は守っている。そんな彼女が何故ここまで殊に依存するようになってしまったのか。これには2つの要因が考えられる。

まずは、麻里矢と殊の関係の変化だろう。中学以前は麻里矢が殊の世話をし、殊がそれに頼るという関係であり、麻里矢の存在意義が保たれてきた。一方で、殊がストッパーの役割を果たしていたとも考えられる。これは麻里矢が浪人を考えた際に冷静にツッコミを入れていたことから窺える。しかし現在の殊は、自立という目標に向けて人に頼らないようにしている上、麻里矢に対して劣等感や負い目を感じており、ストッパーの役目も果たせる状態ではない。よって、麻里矢の不安が増大し、依存に歯止めがかからなくなってしまったのである。

次に、麻里矢を取り巻く環境の変化である。依存相手の殊と会わないことになった麻里矢は、自らの存在意義を見出だせなくなってしまう。その上殊が留年したことで、「同じ大学に一緒に入学する」という目標も失ってしまった。これを受けて麻里矢は、自身の存在意義を求め、より強く殊に依存するようになったのである。


共依存は、自己愛や自己肯定感の低い人が陥りやすいと言われている。実際に麻里矢は自身について話すことがほぼなく、特に17話の詩季との会話では、強引に話を逸らすことで自身の話題を回避している。このように強硬な態度をとってまで自身について話すことを拒むのは、彼女自身が認められないことを恐れているからであろう。

現状、麻里矢は殊の自立を妨げている。一方で、彼女もまた自立ができない「人間がへたくそ」なのである。殊の自立を達成するためには麻里矢の共依存を取り除かなければならないが、そのためには麻里矢の自己肯定感を高め、自己愛を持たせることが重要となる。この過程では留年界隈(恐らく巴か)の協力も必要だろうが、しかし実際に立ち向かうことができるのは他でもない、殊ではないだろうか。