名港中央のきまぐれブログ

きらら系やら何やらについて、好きなようにだらだら書きます

はなまるスキップ 1巻

 ほのぼのした日常系というイメージが強いきらら系にあって、明らかにほのぼのしていない作品がある。『はなまるスキップ』である。この作品はキャラクターが曲者揃いで、『きんいろモザイク』の鬼畜ネタを彷彿とさせるキレのあるギャグが飛び交う。おまけにオチは基本的に常識人ほど損する不条理極まりない展開で、絵柄こそ可愛いが内容はかなりカオス。また、きらら作品としては非常に珍しい、本編に時事や政治に関するネタが登場する作品でもある。このようにきらら作品としてはかなりぶっ飛んだ作風であり、公式でもその点を踏まえて「新感覚ギャグ四コマ」という二つ名を与えられている。
 
 このような、凡そきらら系とは思えない作風とあっては、ファンから受け入れられるのは難しいはずである。実際、ゲスト(読み切り)掲載されたは良いものの、人気が出ず連載されずに消えていく作品は数多い。しかし、本作は一定のファンを獲得し、現在も連載が続いている。

 ではなぜ、『はなまるスキップ』はきららファンからの支持を集めることが出来たのか。それは、この作品の根底に「優しさ」を感じたからではないだろうか。

 この作品のどこに優しさがあるんだ、と思われる方もいらっしゃるかもしれない。確かに、いいんちょや橋倉先生、果ては同好会の仲間であっても平然と罵るピクニック同好会のメンバー達は、どこまでも利己的で他者に対する優しさなど微塵も無いように見える。しかしそれは、それぞれの優しさの上に成り立っている関係なのである。このことが一番よく分かるのは12話で、仲間の為に団結して行動し、星見はるに至っては「シェフ子ちゃんそのままではなまるだよ」と仲間を認める発言までしている。また、この作品には喧嘩しそうなシーンこそ山ほどあるが、実際に同好会メンバーが喧嘩するシーンは一切存在しない。このことは、いくら罵倒されようとも挑発されようとも、それを相手の個性と認める優しさがあるということを表しているのではないだろうか。

 この作品は一見、きらら系らしからぬ非情な作品のように見えるが、その実、きらら系の重要な要素である「優しさ」を土台とする、まさに「新感覚」のきらら作品と言えるのではないだろうか。